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嫉妬は望みを照らす光(3) [引き寄せの法則 小説]





再び縁側に寝転び、もう一度昼寝をするというシェイネを置いて沖田さんを追いかけると、彼は玄関に腰を下ろし、まるで考える人のようなポーズをとっていた。

「どうしたんですか?」
「すみません。また貴方にエゴを押し付けてしまいました。好きな事をして過ごすよう助言しておきながら、私の意思で外へ連れ出そうと考えてしまった…」

なるほど、それで外に出ずにここで思いとどまっていたという訳か。

「謝ることないですよ。人間誰だってそういう事はあるし、沖田さんの場合は優しいエゴだと思いますよ」
「ありがとうございます。ですが私はもう人間ではないので…守護天使失格です」

靴を履いて隣に腰掛けると、沖田さんは扉を見つめたまま自嘲気味に笑みを浮かべた。

「良いじゃないですか」

私の発言に、えっ?と言わんばかりにこちらを見てくる。

「新選組の沖田総司じゃなくても、天使失格でも、堕天使でも悪魔でも…あるがままの貴方という存在であれば良いと私は思います。完璧じゃないからこそ面白い…それは人間も天使も変わらないんじゃないかな」

あちらの世界のこととか、難しいことは良く分からないけど、励まそうとしていることは伝わったのか沖田さんは表情を緩めた。

「まさか晴花さんにそう言ってもらえる日が来るとは…感慨深いです。どうして貴方が堕天使にも優しいのか…どうして天使にも魔女にも好かれるのか分かった気がします。私が思っていた以上に広い心と視野を持っていらっしゃる」
「そんな大層なものじゃないですよ。ただ…みんな同じなんだなって」
「同じ…?」

首を傾げる沖田さんを見て頷いてから、ジョフィがいつもいる居間の本棚の方向、続いてシェイネが寝ている縁側の方を見ながら口元に弧を描く。

「大切にしたいものがあって…悩みがあって、冗談も言うし、本気でぶつかり合ったりもする。心を通わせ合う事もできる」

指折り数える様に人との共通点を上げながら、再び沖田さんに向き直って笑顔を浮かべた。

「沖田さんみたいに時々悪魔っぽい天使もいれば、シェイネが言っていた悪魔のようにひどい事をしない存在もいる…例えばシェムハザとか」
「呼んだか?」
「わっ!ビックリした」

思い付いた様に名前を口にすると、突然天井からご本人…堕天使が登場した。
沖田さんの背後で黒い翼を羽ばたかせ、頭をバサバサと払っているのはわざとに違いない。嫌がらせを受けている当の本人…天使は、その羽根をガシッと鷲掴む。ついでに刀を抜こうとしたので慌てて制止の言葉をかけた。

「貴様もついにこちら側に寝返るか?良いだろう、歓迎はしてやらないがな」
「帰れ」
「ちょっ、シェムハザ…これ以上沖田さんを刺激しないで。何しに来たの?」

いきなりやってきて何故そんな話になっているのか分からないが、取り敢えずここへ来た理由を聞いた。

「あいつに…彼氏ができた」

あいつと言うのは苺さんのことだろう。しょんぼりと言葉を口にするシェムハザには申し訳ないが嬉しくなって思わず笑みが零れる。

「よかったぁ…今度報告したい事があるって言ってたけど、その事だったんだね」
「良くない!俺は…ジェラシーの炎に焼かれて気が狂いそうだ」
「そのまま灰になってしまえ」
「貴様ぁぁあ!」
「ちょっ!ケンカしないで」

相変わらず堕天使には冷たい沖田さんの胸倉をシェムハザが掴んだので慌てて止めに入る。と言っても触れる事はできないので、やっぱり両者の間でスカスカと空振りするだけだ。

「何だい騒がしいねぇ。あらシェムハザ…」

騒ぎで目を覚ましたのか、眠れないのか、眉間に皺を寄せながら玄関にやってきたシェイネがこちらを見てニヤニヤと笑う。

「…黙れ魔女」
「まだ何も言ってないよ」

沖田さんの胸倉を放したシェムハザは不機嫌丸出しでシェイネに対峙する。一方の彼女はとても楽しそうだ。

「アンタも晴花に話を聴いてもらいに来たんだろ?」

いや、さすがにそれはないと思うけど。

「そうだ」
「そうなの!?」
「あははっ、あのシェムハザがねぇ…どうせ人間の小娘の話だろ。晴花が聞くまでもないね。ジェラシーがどうとか言ってたけど、嫉妬の話は傍で聞いてたからアタシが助言してやるよ」
「うるさい!魔女が出しゃばるな」

仲が良いのか悪いのか、言い合う様子をしばらく見つめてから沖田さんに視線を向けると、再び考える人のポーズで目頭を押さえていた。

「沖田さん、行きましょう」

立ち上がり、そっと玄関の扉を開けると今度は私が彼を外に連れ出すべく声を掛ける。

「はい」

顔を上げてすぐに頷き、どこかホッとした様子で後に続いてくれた。
シェムハザのことはシェイネに任せて、一先ず近くの公園までお散歩に出かける。

「シェイネさんの言うとおりです」
「ん?」

人通りのない小道で日陰を選んで歩いていると、後ろから唐突な発言が聞こえて思わず振り向いた。

「確かに嫉妬していました。私は晴花さんともっと仲良くなりたいのです」

そうストレートに言われると照れ臭くなってしまう。でもやっぱり嬉しくて、表情は自然と綻んでしまうわけで、私は自分の頬をパンパンと叩きながら頷いた。

「私も同じ気持ちです」

何となく壁を感じていたから、時間がかかってもシェイネやシェムハザの様に素で話せる存在になりたい。
できればみんな仲良くなってもらいたいけど、これは私のエゴだから黙っておこう。

「よーし、遊ぶぞ!」

その後、好きな事をするという話を思い出して公園のブランコで遊んだ。幼稚園児に思いっきり見つめられたが気にしない、むしろ一緒に遊んだ。
散々子供の様に遊んで帰った後、更に不機嫌になっているシェムハザを宥めるのに苦労したのは言うまでもない。





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引き寄せの法則 小説「タキオカルハ」

沖月ルナ沖月ルナ



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